【インタビュー・前編】バズ・ラーマンが語る、「ゲットダウン」に込めたヒップホップへのリスペクト
どういうわけか、この70年代の物語を世界に示す作品がこれまでなかったんだ。ブロンクスという町が、いまとなっては巨大なビジネスとなっているものを創造したという事実を伝えることさ。そして、いまの全てのヒップホッパーたちに『君たちがヒップホッパーとしてやっていることをこれからも続けてくれ。でも時間があるときに座ってこれを見てくれ。そしてどう思ったかを教えてくれ』と言うことさ」。
1977年に何が起こったのか――『サタデー・ナイト・フィーバー』の公開とともにディスコ・ミュージックは全盛を迎え、世界が『スター・ウォーズ/新たなる希望』に熱狂した年。また、音楽ファンであるならセックス・ピストルズが「勝手にしやがれ(Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols)」をリリースした、パンク・ミュージックにおける象徴的な年としても記憶しているかもしれない。本作では、ヒップホップとディスコという当時のブラックミュージックが辿ることになる分かれ道が、エゼキエルとマリーンというふたりの主人公によって描かれていく。
まずは、バズをはじめ、ネルソン、フラッシュら3人が、1977年という年について語り始める。