2017年2月7日 20:15
【インタビュー】ギャスパー・ウリエル、グザヴィエ・ドラン監督作は「挑戦のしがいがあった」
「そうだね。僕にとって、ルイを演じるのは挑戦でもあった。映画に描かれるエモーションの大部分が、彼を媒介として起動させる設定になっているから。その意味でキャラクターに託された責任は大きかった。他者の言葉に耳を傾け、それに対して言葉ではなく、沈黙の中で最大限にリアクションを表現する。さらに主人公としての存在感を保つというのも、挑戦のしがいがあった」。
台詞に頼らない表現の助けとなったのは、ドラン監督が選択した俳優の顔をクローズアップするという手法だった。
「おかげで比較的、楽に演じられたと思う。
今回は90%ぐらいがクローズアップなので、自分で表現するスペースをしっかり与えられる感覚があった。ほんの些細な表情、ディテールも、グザヴィエはちゃんとキャッチしてくれる。内に深く秘めたものを大げさに表現せずとも、とらえてくれると分かっていたから」。
クローズアップを多用することで、この家族の持つ息苦しさが表現できたという。「もう1つ言えるのは、沈黙は言葉よりもより雄弁だということ。ジャン=リュック・ラガルスの原作から伝わるのは、いくらしゃべり倒したところで本当に大切なものは全然出てこないということ。