2017年8月9日 10:00
【インタビュー】“リアル”の追求者C・ノーランが初めて挑む実話…「やりがいのある挑戦だった」
フランス北部にある海辺の町、ダンケルク。
『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』『インターステラー』などで知られる唯一無二の映像作家クリストファー・ノーランが、新たに選んだテーマは、いまから77年前の第2次世界大戦のさなか、この町の海岸や上空で、民間人も巻き込みながら繰り広げられた史上最大の救出作戦、いわゆる“ダンケルクの戦い”だった。キャリア史上初めて史実に挑んだノーラン監督に、映画『ダンケルク』について話を聞いた。
1940年5月、フランスに侵攻したドイツ軍の猛追に、40万人もの英仏連合軍の兵士たちはダンケルクに追い詰められていく。目の前のドーバー海峡の先には、故郷イギリスがあるにも関わらず、背後にはドイツ軍が迫り、地上では空爆によって火花が散り、砂塵が舞う砂浜は年端もいかない兵士たちが身動きもとれない状態、海上でも駆逐艦が次々に撃墜されていく。そのとき、ダンケルクはまさに絶体絶命の地だった。
「イギリスでは、ダンケルクの戦いを知っている人は多く、“ダンケルク精神”という言葉も文化的に普及しています」と、ノーラン監督は言う。「“ダンケルク精神”とは、ダンケルクの戦いから由来し、“困難に直面した際に周りと力を合わせてやり抜く”という意味で、イギリス人にとっては親しみのある表現。