くらし情報『【インタビュー】菅田将暉×ヤン・イクチュン 男たちが拳を繰り出し続ける理由』

2017年10月5日 20:00

【インタビュー】菅田将暉×ヤン・イクチュン 男たちが拳を繰り出し続ける理由

とふり返りつつ、それでも何よりも重視していたのは、そうした細かいテクニックではなく「バリカンとして映画の中に存在するということだった」と語る。

「日本語に始まり、体作りにボクシングのテクニック、ハサミを持つ手さばきなど本当にたくさん、準備しないといけませんでした。でも、大事にしたことをひとつ挙げるなら、やはりバリカンとして存在すること。映画を通して新次との感情の触れ合いがありますが、目に見えるイメージだけでなく、表面上は描写されない隠れた気持ちの触れ合いもとても大切でした」。

ヤン・イクチュン『あゝ、荒野』/photo:You Ishii
そんなヤンさんとの現場の中で、菅田さんが驚いたと語るのが、劇中でバリカンが描く新次の絵。実はこれらの絵の全てをヤンさん自らが描いているという。

「見たままを描いているだけなのかもしれませんが、すごく単純なようで難しいですよね。絵って物事を捉える力、それを表に出して表現する力が必要。
あぁ、この人は本当に“作る”人なんだなと、芸術的な感性に感動しました。ヤンさんのタッチがすごくバリカンらしいんです。細いペンで何本も陰影を重ねて作り上げていき、柔らかい表情の中にも新次の陰や闇、母親に捨てられた過去を持つ彼の暗い目が出ていて。

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