【インタビュー】強烈だった恋愛は、いつだって鮮明に思い出せる――臼田あさ美が明かす恋愛観
原作の存在も知っていて、企画の内容を聞いた臼田さんは、「絶対やりたいし、やるべきだと思いました」と強く興味を惹かれたという。製作までにはかなりの時間を要したが、月日を待ってまで、作品の何に惹かれたのかと聞けば、「正直、わからない部分もあるんです」と、臼田さんは切り出した。
「ツチダに共感したとか、そういう経験をしたとかではないんです。原作を読んだとき、脚本を読んだとき、撮影中、いまと、ずっと変わらない気持ちなのは、せいちゃんに対して何とかしてあげたいという思いでした。原作を映画化して、せいちゃんを何とか送り出したい…成仏させたいと言うと大袈裟ですけれど(笑)。せいちゃんの歌が皆に届けば、報われるんじゃないかなという感覚になっているんです」。
ツチダは、働かないで曲を作ろうとする(実態はくすぶっている)せいいちのために、ライブハウスでアルバイトをし、それだけでは生活が苦しくキャバクラにも勤め始める。せいいちに内緒でする夜の仕事は、やがて愛人契約という成れの果てに。
ほどなく、せいいちにもバレてしまい、それをきっかけに恋人たちの仲は悪化の一途をたどる。よく言えば尽くし、悪く言えばとにかく流されやすい女がツチダ像だ。