2020年6月18日 19:00
自然光が奇跡の一瞬、感情の動きをとらえる『WAVES/ウェイブス』撮影秘話
その後、タイラーの世界が崩れていくにつれ、その心情を表すかのように、アスペクト比も変わる。
「悲劇が起きた直後に1.33:1にしたのは、閉塞感が増しますし、顔をアップでとらえるのに美しい比率だから。兄から妹にバトンが渡る瞬間には適していました。対象がエミリーに切り替わってからも、彼女はまだ深い悲しみに浸っていて、周囲と距離を置いているから、しばらく1.33:1を保ちフォーカスを浅くしています。エミリーが心を開き、恋をしようと決めた瞬間、彼女の感情に合わせて2.66:1に戻すんです。そして最後の3分の1で1.85:1に戻し、エミリーの傷は次第に癒され、周りの人々との絆も強まっていく」と監督。
監督や撮影スタッフ達の徹底したこだわりと、フロリダの天候から生まれた奇跡の一瞬は、日本版ポスターのビジュアルにも採用された本作の美しさを象徴するような場面。そして、登場人物の心に寄り添って変化していく画面は、監督が語るように登場人物の頭の中に入ったような圧倒的な没入感を観客に与える。
『WAVES/ウェイブス』は7月10日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。
(text:cinemacafe.net)