くらし情報『辻仁成インタビュー 「アントニオ猪木さんをもう一度、リングに上げたかった」』

2009年10月24日 18:06

辻仁成インタビュー 「アントニオ猪木さんをもう一度、リングに上げたかった」

(Photo:cinemacafe.net)

(Photo:cinemacafe.net)

父が子供に対して直接、愛情を示すということが簡単なことではないことは、結婚していない者でもよく分かる。辻仁成は、6年ぶり6本目の監督作となる『ACACIA』を「個人的な…身勝手な立場で書いた手紙のようなもの」と表現する。それは、離婚した妻の元に引き取られ、いまは離れて暮らす息子への手紙。伝えたかったのは「忘れたことは一日だってない」という思い。東京国際映画祭のコンペティション部門の一角を占める、父から息子へ向けたこの“優しい私信”について話を聞いた。

「父親って何なのか?分からなくなった」

「自分の中で分からなくなってしまったことを表現するのが僕の仕事」――。父親の愛とは?それは母の愛とどう違うのか?そんなストレートな問いに対して返ってきたのはこんな答えだった。
「自分が前の妻と離婚してしばらく経って冷静になったとき、そして再婚して2人目の子供が生まれたとき、フッと自分たち夫婦のある瞬間の問題のせいで、不幸を与えてしまった最初の子供に思いを馳せたんです。
そのときまさに、『父親って何なのか?母親って?』ということが分からなくなってしまった。そこで映画にしようと思ったんだけど、じゃあ答えが出たかというとまだ出てなくて…。

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