お酒に支配された主人公を見事に体現「酒癖50」主演俳優に注目
の変化は大きいが、この下野のギャップは相当なものだろう。悲しいのが、飲酒の場でも後輩にけしかけられて「周囲の空気を読んで、本当は気乗りしないのに」飲んでいるところだ。早い話が部下のおもちゃになっている。そんな哀愁たっぷり、鬱屈した思いが炸裂の悲しき悪酔いの姿を晒す。
前野さんはauの人気CM“三太郎シリーズ”に、一寸法師役、彦星役で出演し、独特の存在感を発揮。映画『桐島、部活やめるってよ』では、神木隆之介演じる主人公の親友役を演じ、おとぼけなところもありつつ時に見せる辛辣な毒舌が癖になる個性的なキャラクターを熱演した。朝ドラ「わろてんか」(NHK総合)で漫才師役を演じたかと思えば、その際相方役だった大野拓朗と「M-1グランプリ2017」(テレビ朝日系)に出場し、見事予選1回戦を突破する快挙を成し遂げている。
また、俳優としてだけでなく監督としても作品を手がけており、自身が監督・主演を務めた映画『脚の生えたおたまじゃくし』は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2010」で審査員特別賞とシネガー賞をW受賞している。
そんな多才な前野さん演じる下野の、理性ではダメだとわかっていてもどうしてもアルコールの魔力に引き寄せられてしまう切なさ、その抗えない“人間臭い”姿を堪能してもらいたい。