2021年9月27日 18:30
『孤狼の血』白石和彌監督に訊く映画業界がアップデートしていくべきこと<アーカイブ>
白石:導入しなければならない、というほど強くは思っていなかったんですが、やっぱり映画業界はいまに至るまで綿々と厳しい縦社会の中で、後輩を怒鳴ったり、ときには暴力を振るったりということをずっと見てきたので、気分のいいものではないというのはずっと思っていましたね。
SYO:そういった中で「全裸監督」のニュースを知って、導入しようとされたと。例えば何時間ぐらいとか、どういった内容だったのでしょうか。
白石:トレーニング自体は1時間で、僕らは広島にほぼスタッフ全員で行っていたのでオンラインでの開催になったんですけど、内容的には「こういったことはハラスメントに該当しますよね」ということを、一方的に決めつけるというよりは、みんなで考えながら進めていく、みたいな。トレーニングなので。
じゃあ、何でハラスメント・トレーニングって言わないんだっていうと、ハラスメントというと結局受け取る人によって、A、B、Cという人がいたら、Aの人は完全にハラスメントと感じたけれど、Bの人はそこまで僕は嫌な思いはしませんでしたよとか、結局、明確な線引きってできないっていうことを前提に作られたトレーニングなので。
だったら、線引きができない以上は何かを行動したり、誰かと話したりするときに相手に対する“リスペクト”をまず持ちましょうと。