2021年10月29日 07:45
【インタビュー】橋本愛が語る日本映画の今と未来「心や感性を育てることが大きな役目」
俳優としての目線では到底広い視野で見ているとは言い難いですが、一観客として、「寂しい」と感じることは結構多いように思います。自分がすごく良いなと思った作品がそんなに観られていなかったり、いまの国内の興行収入やランキングを見ていても、娯楽性の強い作品が多く、もちろん楽しい映画は私も大好きなのですが、教育的な部分が欠けているようにも感じるんです。
それは映画においてだけではなく、社会の中でもそう。自分自身は芸術に携わっているからこそ、人間の本質を見つめたり、優しくなれたり、世界や人生の真理に触れることが当たり前になったのですが、私にとっての当たり前の日常は、“ここ”で生きているからなんですよね。どこかで「みんなもそうなんだろうな」と思っていたら、全然違った、と思い知らされることが多いです。
――非常にわかります。芸術文化の業界の内側で止まってしまっている部分も大いにありますよね。
心や感性を育てることが芸術文化の大きな役目だと感じますし、そういったものが土台にあるともっと生きやすい社会になっていくんじゃないかと思っています。
私は元々映画を全然観ていませんでしたし、映画好きの家庭に育ったわけでもありません。