【シネマモード】キャメロン・ディアスが着る、70年代という必然性『運命のボタン』
いまの時代、携帯、TVのリモコン、コンピュータは当たり前だ。そして僕らは楽々とボタンを押して、大小に関わらず問題を解決し、必要を満たしている。結果や悪影響をあまり考えずにね。でも、この物語の舞台となった30年前は違う。だから僕は、最初に原作小説が出版された1970年代をそのまま舞台にしたかった。そうすればノーマとアーサー(主人公)は、考え抜いて行動を決めなくてはならないからね」。
ボタンを押して満足を得る。そんなことにまだまだ不慣れだった時代だからこそ、人間の葛藤が浮き彫りになるというわけです。
そんな葛藤を通して、人間の本質、愛など、複雑な感情を表現した作品ですから、観ていても真っ先にファッションなどに注意が向くわけもないのですが、監督がこだわった70年代性は、劇中に登場するインテリア(ペドロ・アルモドバルの作品を思わせる)やファッション(スポーティかつエレガントな)に色濃く反映されています。70年代という必然性を投影した演出のひとつとして、主演のキャメロン・ディアスが身につけるファッションも重要な役割を果たしているのです。
キャメロンが演じているのは、高校の国語教師。70年代の教師ですから、そのスタイルはいたってシンプル。