2023年1月12日 18:00
【レビュー】『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』女性たちの勇気ある語りは未来のために
『パルプ・フィクション』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『恋におちたシェイクスピア』に、『キル・ビル』、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作や『英国王のスピーチ』などなど。
映画好きが選ぶ「好きな映画」として、名を挙げられる幾多の映画たち。『ショコラ』『サイダーハウス・ルール』『愛を読むひと』といった名作ヒューマンドラマから現在も支持を集める大ヒットホラー『スクリーム』やリメイクシリーズの『ハロウィン』なども含め、映画プロデューサー ハーヴェイ・ワインスタインがミラマックス時代からワインスタイン・カンパニーを解雇されるまで手がけた作品は優に300本を超える(IMDbより)。
90年代からハリウッドで“神”として君臨していたワインスタインがこれらの映画製作の裏側で行ってきた性暴力、そして、それを躍起になって隠匿してきた者たちがいたことは、2017年10月5日、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたスクープが口火となり次から次へと明るみになった。
その調査報道をまとめたベストセラー・ノンフィクションを基にした『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』は、どんな映画ファンも見逃すことのできない重大な告発と圧力に屈しなかったジャーナリズムの姿を描きつつ、女性たちの未来へ向けた声高らかな意思表示となっている。