2023年1月12日 18:00
【レビュー】『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』女性たちの勇気ある語りは未来のために
重要な情報提供者の1人となった元会計士のアーウィン・ライターとの関係づくりに、ホロコーストの“サバイバー”であるジョディの祖母の話題が糸口となったのも「プロット・アゲンスト・アメリカ」で好演を見せたゾーイが演じればこそ。
そんな2人が演じるタイプの違う記者がコンビを組み、取材の中でサバイバーや目撃者たちと手を取り合い、支え合って葛藤を乗り越え、連帯を強めていく過程を見つめるだけでも本作は大変に意義深い。加えて、編集局次長レベッカ・コーベット役のパトリシア・クラークソン、編集長ディーン・バケット役のアンドレ・ブラウアー、声を上げたローラ・マッデン役のジェニファー・イーリーやゼルダ・パーキンスを演じたサマンサ・バークスらの熱演も忘れてはならない。
未来の誰かを守るために…#MeTooの萌芽
ただ、二度と思い出したくもない、自身の一部をある意味“死なせた”出来事について「オンレコで話せますか」と、公表や報道を前提で話すことができるかとサバイバーたちに何度も尋ねて回る道程は、双方にとって心身を摩耗させる作業である。
それでも2人が粘り強く向かい合うことができたのは、正義の追及はもちろん、原作から引用されているミーガンの言葉に尽きる。