『ボックス!』李闘士男監督が明かす――市原隼人&高良健吾の“リアル”
あるシーンで、あいつがポツンとひとりで取り残されるところがあるんですが、本番になったらなぜかあいつ、走り出しやがった!『何やねん、お前』と思いつつ、そこがかわいいし、彼にしかない瞬発力が魅力ですね」。
一方、ユウキ役の高良さんに対して、監督はこんな注文を。
「原作にも書かれていないけど、なぜカブとユウキの間にここまでの友情があるのか?そこを分かってやってほしいとは伝えましたね。表現が下手くそなカブの本当の優しさをユウキはずっと前から知ってる。ユウキもうまく自分を外に出せないヤツだけど、カブはそれを分かってる。高良には『君は、カブのことを好きで好きでたまらない。そこをどうやって出していくか?という部分しかないんだぞ』と言いました。ユウキとカブが拳を交えるとき、ユウキはカブを倒すんじゃなくて“過去の自分”を倒そうという意識なんじゃないか。
その後、自分の一番大切な大好きな人を超えてしまった瞬間に感じる戸惑いを見せてほしかったんです。高良は薄〜い皮を一枚まとってる感じ…牛乳温めたときにできる膜みたいなものを持ってて(笑)。それを『破るのか?破らんのか?いつ破るねん?』ていうじれったさがヤツの魅力かな」。