日米デザイナー対談! 2人のデザイナーは鬼才ホン・サンスの世界をどう切り取ったのか?
貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
若林:最後にひとつだけ。また『小説家の映画』の話に戻りますが、私のデザインした2人がレストランで向き合っているカットですが、実はこれは同一のシーンのカットではないんですね。
このシーンは定点カメラで長回しで撮っているんですけど、それぞれがちょうど良い表情をしている瞬間を切り取って、合成してるんです。ただ2人の距離も離れすぎていたので、テーブルの幅も狭めて、近づけているんです。
そういう裏話って、言われなきゃわからないものだと思いますし、もちろん、本来はお客さんは知らなくて良いことなんですけど。ホン・サンスの映画ってまさに優雅に泳いでいるように見える白鳥が実は水面下では足をバタバタと漕いでいるようなもので、水面下でデザイナーはなかなか大変な思いをしているんですけど(苦笑)、それが今回、良いデザインに仕上がり、とても満足しています。そこに至るまでに、ブライアンさんの空間を用いた階段のポスターを見て、良い刺激をいただいて「負けたくない」「じゃあ、日本のデザインはこういうものを見せよう」と思った部分がありました。
ブライアン:そう言っていただけて嬉しいです。