2023年7月16日 16:00
『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』“ヒトラー”も演じたオリヴァー・マスッチ、「心を削られた」撮影をふり返る
だから撮影中は多大な集中力が必要だったし、この集中力を保つことは大変なストレスでしたね。正直、撮影が終わった時は心からほっとしました」と、ナチスに監禁される男を演じることの壮絶さを語った。
さらに、監禁された後もナチスに立ち向かい続けたヨーゼフについて、「ヨーゼフのように自由を奪われると、もはや自分が何者なのかということすらわからなくなるでしょうね。心の中では抵抗する気持ちを持ちながらも、自我はどんどん小さくなる。ヨーゼフは秘密国家警察に対して立ち上がるけど、最後には狂気に逃げるんです。ここは原作者であるシュテファン・ツヴァイクの自伝的な部分でもありますね」と自らの思いを話した。
フィリップ・シュテルツェル監督とオリヴァー・マスッチ
演じるのが最も辛かったシーンを尋ねられると、「チェスの手の列挙、そしてその裏に隠された状況が描かれるシーンです」とマスッチ。「この男は孤独のなかで狂気を悟ります。これほどの暴力にさらされる人物を演じるのは、簡単ではありませんでした。それに20ものチェスの手を暗唱するのも」とチェスを題材に扱った本作ならでは苦労を語り、「たぶん、チェスのプレイヤーには簡単なのでしょうが。