キングギドラ、モスラをつくった怪獣造形師・村瀬継蔵が胸にとどめる円谷英二の金言
ということ。監督・演出家は、うまく周りを動かして、それによって造形や美術ができあがれば、それでいいんだと。だから本当にできたものだけ見て「これはダメ」、「良い」としか言わない(笑)。でも、僕にとってはそれが力になりました。どんどん新しいものを考えてやるようになったけど、それは円谷さんがいなかったらできなかったと思います。
ゴジラの爪も歯も昔は全て金網で下地を造っていましたが、一度戦うと曲がってきちゃうんですね。それじゃダメだということで「じゃあ、合成樹脂で造ったらどうですか?」と言ったら「合成樹脂って何だ? そんな材料があるのか!」と。そうやって、次から次へとこっちから提案をすると「やってみよう」と受け入れてくださる人でしたね。
60年以上を経て再び撮影したヤマタノオロチのシーン
――本作『映画『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』では怪獣ヤマタノオロチが出てきますが、ヤマタノオロチと言えば村瀬さんも参加された『日本誕生』(1959年/監督:稲垣浩/特技監督:円谷英二)に登場する八岐大蛇が印象的です。
村瀬:あの映画では三船敏郎さんが須佐之男命(スサノオノミコト)を演じていて、八岐大蛇の上に乗って、剣を突き刺すというシーンがありました。