『ボレロ 永遠の旋律』稀代の作曲家を熱演ラファエル・ペルソナ「新たな僕の一面を見つけて」
確かに、歴史家のあいだでも色んな説があるんです。アンヌはラヴェルの生活にはセックスがなかったというふうに考えていたんですが、子どものまま大人になりきれていないという解釈が正しいのかどうかは分かりません」と彼は言う。
「撮影のためにラヴェルが生前暮らしていた家に行ったとき、子どものおもちゃやカード、そんなものが色々置いてありました。一方で、“レザネフォール”(フランスの1920年代を指す言葉)というのはパリにとって本当に狂乱の時代で、彼自身、夜遊びをすごく好む一面もあったようです。夜遊び自体、嫌いではなかった。でも、作品のためにそこから身を遠ざける形で、自分の家に引きこもることをあえて選んだわけです」と続ける。
「それは、まるで花が開かずつぼみのままでいるような人生を送ることですが、音楽としてはとても官能的でエロティックなものを生み出していた…彼にはそういう逆説的なところがあると思います」。
本作では、親友の姉で奔放な恋愛遍歴で知られたミシアをはじめ、様々な女性たちの存在が鍵を握る。
ミシアを演じたドリヤ・ティリエ、作曲を依頼した振付師のイダ・ルビンシュタインを演じたジャンヌ・バリバール、ラヴェルの理解者でピアノ奏者のマルグリット・ロンを演じたエマニュエル・ドゥヴォスら、フランスを代表する女優陣との共演も見どころ。