ロウ・イエ&ジャ・ジャンクー最新作を特別招待「第25回東京フィルメックス」ラインアップ発表
“この作品を招待するとコンペティションのレベルが上がる”というある種の基準になる作品が必ず出てくる。その作品を招待しても、それに匹敵する、コンペティションを競える作品が十分にあるか、と自問し、自分が納得できたところで、全体像を見ながらラインナップを決めた」とふり返っている。
オープニング作品
『Caught by the Tides』(英題)中国
ジャ・ジャンクー監督の長年のミューズであるチャオ・タオ主演。物語は2001年に始まり、1度目は5年後、次には16年後に時代が移行し、2022年を舞台とする第3幕までを通して、主人公女性の感傷的な苦難と、時の経過と共に彼女の自立が深まっていく姿が捉えられている。冒頭の場面は2001年頃に撮影され、映画の終盤に主人公たちが再び大同市に戻るごろには、この古い炭鉱都市が未来への可能性に開かれた完全に別の世界になっている。最初の2章は過去に様々なフォーマットで撮影された未使用の映像素材が多くの場面で使われており、サウンド版サイレント映画の形式が部分的に採用され、ポップ、ディスコ、伝統音楽等のサウンドトラックに支えられた流動的な編集がなされている。そうしたユニークなハイブリッド映像/音響が各時代の集合的記憶のようなものを想起していく。