ソロシネマ宅配便 第2回 第2回『初恋』バージョンアップした“令和版Vシネマ”
オールドスタイルの武闘派ヤクザ権藤(内野聖陽)の古すぎて新しい佇まいや、加瀬に構成員の彼氏を殺され復讐の鬼と化すジュリを演じるベッキーのべらぼうな戦闘力の高さも見所だ。
デンゼル・ワシントン主演の『イコライザー』より肉体的で下品なホームセンターでのバトルロイヤルも生々しくてひたすら最高で最強。マジでバージョンアップした令和版Vシネマ。最近、こういう社会から弾き出された明日なきアウトローたちが主役を張る作品は激減している。
数日前に30代中盤の知り合いの編集マンから「初恋、面白かったですよぉ!」なんて興奮のLINEが来ていたが、まさに柿ピーとビール片手の「おっさんのソロムービー」(以下OSM)という意味では、ほとんど完璧な作品だ(ただしお色気シーンは少なめ)。この懐かしい感覚はなんだろうとパンフレットを購入して確認したら、三池崇史監督も脚本・中村雅氏もやはり『DEAD OR ALIVE』シリーズを意識して本作を作ったのだという。
「くだらない奴らのくだらない攻防からピュアなものが生まれる」という三池監督の哲学は20年前から変わっていない。99年公開の『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(以下DOA)