『翔んで埼玉』の世界はこうして作られた! 美術・あべ木陽次氏の秘話
「まさか賞の対象になるなんて!」という感じです(笑)。
――最初に、実写映画化するので美術をやってほしいと言われたときの印象を教えてください。
まず魔夜先生の原作を読ませていただきました。ちょっと昔の感じや少女漫画っぽさ、いい意味でのチープな感じを受け取りましたが、このなんとも言えない格差社会の世界観をどうやってビジュアルにしたらいいんだろうと思いました。どういうつもりで企画したんだろうと(笑)。
――過去にあべ木さんが担当された『暗殺教室』もコミック原作ものですね。
『暗殺教室』の場合は、原作に答えがあるものを映画用にアレンジしやすかったのですが、『翔んで埼玉』の場合は映像で目指すのは難しいんじゃないかと感じました。漫画そのものの世界観は分かるんですけど、ビジュアルの世界観がなかなかつかみづらくて。
○■『翔んで埼玉』の世界観を決めたのは「教室」
――武内監督からはどんなことを求められたのでしょうか。
監督もまだ方向性に悩んでいたので、ともかくロケハンをすることにしました。そこで最初に学校の外観のロケハンをしたんです。「割といい雰囲気だね」なんて話をして、中に入ったら、結構いいけどちょっと弱いかなと、監督が、「外観はありだけど、中はやっぱり違う」