2014年11月26日 11:00
彗星に着陸せよ! 探査機フィラエが挑んだ57時間の軌跡 (1) 栄光のハレー艦隊と、彗星探査に賭けた欧州の想い
ロゼッタによる探査で、太陽系の誕生や、こんにちの姿になった過程、そしてまた地球の水や生命が誕生した経緯といった、多くの謎が解き明かされるかもしれない。ロゼッタと名付けられた背景には、「宇宙のロゼッタ・ストーン」になるようにとの期待が込められていた。
またロゼッタに搭載される小型の着陸探査機は「フィラエ」と名付けられた。フィラエはナイル川にかつて存在した島の名前で、ロゼッタ・ストーンを解読する手がかりとなった石柱が発見された場所だ。現在ではアスワン・ハイ・ダムの建設によって水没している。なおESAでは英語読みに近い「フィーレイ」と発音している。
目的地はワータネンと呼ばれる彗星に決定された。計画では2003年1月に地球を出発し、1回の火星スイングバイと2回の地球スイングバイを経て、小惑星オタワラとシワをフライバイ観測し、ワータネン彗星に到着するという旅路になるはずだった。
しかし、2002年12月11日にアリアン5 ECAロケットの1号機が打ち上げに失敗したことで、ロゼッタの打ち上げが延期されることになる。アリアン5ロケットにはいくつかの種類があり、失敗したアリアン5 ECAは、ロゼッタを打ち上げる予定のアリアン5 G+を能力を向上させた機体だ。