2014年11月26日 11:00
彗星に着陸せよ! 探査機フィラエが挑んだ57時間の軌跡 (1) 栄光のハレー艦隊と、彗星探査に賭けた欧州の想い
両者は部品の多くが共通で、アリアン5 ECAが失敗した原因が究明されるまで、アリアン5 G+の運用も停止されたことから、打ち上げが可能な期間を逃す羽目になった。
地球と彗星との位置関係は絶えず変化しており、使用するロケットの能力などから、彗星に到達することが可能な機会は限られている。アリアン5 G+の運用が停止されたことで、この機会を逃してしまったのだ。
ロゼッタのチームは対応に当たった。得られる科学的な成果や、ロゼッタが取るリスクなどの観点から様々な案が検討された。まず考えられたのは、アリアン5 G+よりも打ち上げ能力が大きい、アリアン5 ECAやロシアのプロトン・ロケットを使ってワータネン彗星を目指すというアイディアだったが、資金の面で却下された。そして最終的に、ロケットは変えず、別の彗星を目指すこととされた。そしていくつかの候補の中から、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が新しい行き先として決定された。
2004年3月2日、ロゼッタとフィラエはアリアン5 G+ロケットに搭載され、南米仏領ギアナにある、ギアナ宇宙センターから飛び立った。10年にも及ぶ、長い航海の始まりだった。
(次回は11月27日の掲載予定です)