2014年11月26日 11:00
彗星に着陸せよ! 探査機フィラエが挑んだ57時間の軌跡 (1) 栄光のハレー艦隊と、彗星探査に賭けた欧州の想い
もともと欧州は、1970年代から彗星の探査に強い関心を持っていた。それは彗星が科学的に魅力的な天体であると同時に、月や火星、金星などの探査は米国やソ連が先行しており、第三極としての地位を発揮するためには、彗星探査という選択肢はもってこいであった。
欧州はCNSRを発展させ、NASAのCRAFとを組み合わせたようなミッションを新たに立ち上げる。それは小惑星をフライバイして彗星に到着、そして周囲を回りながら探査しつつ、小型の探査機を彗星核に着陸させるという、大胆なものだった。
○宇宙のロゼッタストーンを目指して
1993年11月、ESAの科学プログラム委員会によって、この新計画の実施が決定された。探査機には「ロゼッタ」という名前が与えられた。
この名前は「ロゼッタ・ストーン」に由来する。ロゼッタ・ストーンはナポレオン・ボナパルトがエジプト遠征を行った際に、エジプトの都市ロゼッタで発見された石柱で、古代エジプトで使われていたヒエログリフと呼ばれる文字を解読する手がかりとなった。
彗星は、今から約46億年前に太陽系が誕生した当時の痕跡が保存されているとされ、「太陽系の化石」とも呼ばれている。