ソロシネマ宅配便 第13回 香取慎吾、あがきながら前へ進む - 映画『凪待ち』
人は己の過去から完全に逃れることはできない。引っ越しても、転職しても、今度こそ上手くやれそうでも、土壇場で過去が何食わぬ顔で日常に顔を出す。漁師を続ける父・勝美にとって最愛の妻を亡くした震災が逃れられない過去かもしれない。郁男にとってそれはズブズブにハマる競輪だし、香取慎吾本人にとってはそれがあの輝かしいアイドル時代なのかもしれない。
40歳を過ぎた大人になり、新しいスタートを切ったつもりでも、世間からは国民的アイドル元SMAPというフィルターを通して見られてしまうことも多々あるだろう。過去が自分を追ってくる。ちきしょう、なんて俺はダメなヤツなんだ。自己嫌悪に襲われ、すべてから逃げ出したくなるが、それでも不様にあがきながら前へ進んでいく。
『凪待ち』はそんな映画だ。
公式パンフレットで香取慎吾は、この映画について「郁男の再生の物語」だと語っている。
「僕も、とっても華やかな世界で子供の頃からお仕事させてもらってきましたけど、再生しなきゃいけないような時期もあって。誰でも、人生において落ちている時間はあると思うんですよ。でもそこからでも、這い上がらなければいけない」
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