『パト2』と実写――二つの線の重なりに押井守監督は何を映したか「パト2と現在の差分を描くことがテーマだった」実写版『パトレイバー首都決戦』
一番のポイントは"見えない"ということなんです。その象徴が見えない戦闘ヘリということ。テロの実態が見えない、もっと言えば動機すら分からない。つまり、"敵が見えない"んです。
何となく察しがつくのは、もしかしたらあいつ遊んでいるんじゃないか、ということ。人の命どころか、自分の命も。そうだとして、無差別にミサイルや機関砲を撃ちまくることで遊び足りうるのかと。多分ね、足り得るんだよ。
足り得る部分が"時代"なんだよ。
日本でもしテロがあり得るとすれば、政治的な要求などではなくて、一人が勝手に戦争を始めることだと思うんですよ。すでに、現実に戦争をやっているヤツが出ている。通りがかりの人を刺しちゃったりね。それは言ってみれば彼らにとっての戦争なんだよ。戦争なんだから、動機なんて必要ない。
●パトレイバーは20年連れ添った奥さんみたいなもの
(『首都決戦』では)そういう怖さや不気味さがちょっと出ればいいなと思ったけど、基本的には痛快アクション映画というご要望だから、やりすぎない範囲の中で。実は物語としては、ぜんぜん決着ついていない。
またやるかもしれないよ、きっと。死んでないんだもん。それ以前に、そもそも灰原って誰よそれ、と。