女の節目~人生の選択 (16) vol.16「初めての、通院」【27歳】
への対策であるし、どうせ眠れないのだからと毎日のように夜遊びや暴飲暴食を繰り返していたのは20代半ばまで、時間帯で食べるものを節制して、主食を玄米に切り替え、カフェインや刺激物の摂取にも敏感になった。頭痛や腰痛を併発しないように寝具や照明にもお金を注ぎ込み、有酸素運動が大事と言われればフィットネスジムにも入会した。入会だけは、した。
そして、小児喘息で入院していたクラスメイトは、あんなに小さな子供の頃から、こんなふうに「健康」に気を遣っていたのだろうか、などと考えたりもした。新しくとる何気ない行動の一つ一つが、脆く壊れやすい自分の心身を損ねやしないかと、いちいち考えながら生きるのはどんな気分だろう。彼女の「節目」は私と違って、うんと早くに訪れたのだ。自分からみすみす健康を手放したがるやつがあるか。今ならその怒りに寄り添える気がする。
一方で、私と彼女の歩んだ半生は、すでにしてずいぶん違ってしまっているよね、とも思う。
親元を離れて暮らすようになってから、久しぶりに親と会うたびに健康を心配され、いつも「あなたはもともと、小さい時から虚弱だったからねぇ」と言われる。言われるたびに驚く。彼らの思い出話の中の私は、季節ごとに高熱を出して寝込み、アトピーなど皮膚のトラブルが絶えず、少しの傷でも出血が止まらず、採血しただけで体調を崩し、何度も腎臓の精密検査を受け、運動が苦手で直射日光に弱い、そんな子供だというのだ。