綾野剛×舘ひろし、刺激を受ける相手の「歳は関係ない」それぞれの生き抜き方とは
それだけですね。僕は自分がやった作品は全部ちゃんと覚えています。生き抜き方なんてよくわからないけど、結果として僕がこの歳までやってこられているのは、ひとつひとつの作品に、僕なりに情熱を持って向き合ってきたからですかね。セリフを覚えるといった表面的なことではなくてね。
綾野:僕はそんな語れるところまでになっていません。でも舘さんの言葉を聞いているととても沁みます。ひとつひとつの作品に向き合うって、特別なことをお話しているわけではないのだけれど、でもそれができない若手の俳優時代というのもある。僕自身、7、8年前は5本掛け持ちとかしていました。
一人ひとりが作品に愛されて、作品のことを愛せるような関係性を、毎作品で作っていけたら、それはとても素晴らしいことだと感じました。
――最後に、お互いのシーンで、ここは見逃さずに!というポイントを教えてください。
舘:最初にも綾野くんが言っていた、山本が拉致されてボロボロになって帰ってきて、柴咲のところで泣くシーン。それまでずっと突っ張っていた山本がふっと弱くなる。この時の落差というか、そのときの綾野くんの“目”が本当に素晴らしい。野犬が初めて人に心を許して、子犬に返ったかのような目。