アラサー女性を少女漫画の洗脳から解き放て! - 『東京タラレバ娘』
注目すべきは、彼女たちがそれぞれ自立した職業に就き、そこそこ稼ぎもあって、それなりに成功や安定を収めていること。つまり、スペックだけ見たらじゅうぶん一人でも幸せに生きていける"はず"なのである。
しかし、彼女たちはまったく幸せと思えずにいる。その苦しみの原因は、"彼氏ほしい""結婚したい"というもはや内圧なのか外圧なのかわからないプレッシャーと、若い頃とは勝手が違う現状に追いつけず、理想の男性と理想の恋愛のハードルを上げ続けてしまった自意識との葛藤だ。
この、"自分がもう若くないことを受け入れられない"アラサー世代特有の痛い腹を執拗に探り当て、グリグリとえぐり続けるところが、この漫画の凶器として鋭利なゆえんだ。
倫子が10年前に"ダサいから"とフッた仕事仲間の男が、立派に成長&出世してはるか年下の女子と付き合い出したり。実力で評価されることが救いだった仕事すら、10歳年下の新人の枕営業によって横取りされたり。
若きイケメンモデルのKEYは、倫子たちの女子会を「行き遅れ女の井戸端会議」と切って捨て、「もう女の子じゃないんだよ? おたくら」と熾烈な暴言を吐く。
さらには、倫子がお酒を飲み過ぎると現れるタラの白子とレバテキの幻覚までも、口を開けば「女は若さと美しさタラ」