中村倫也「今とても心地いい」 ブレイク後の変化の中でたどり着いた自然体
エッセイって、出会った人との楽しかった思い出や面白い事件がメインな気がしていましたが、僕は違いましたね。自分が悩んだり考えたりしたことをたくさん書いている。それが自分という生き物だと知りました」と、自分がどういう人間か改めて気づいたという。
普段の生活の中で自分のことを深く掘り下げる機会はあまりないかと思ったが、中村は昔から“考える人”だったという。「考えるのが癖になっていて、心の中で自問自答しています。そういう性格なんです。ただ、自分の中だけで完結している感覚でよかったものを言語化する作業だったので、それは初めての経験でした」
エッセイでは、理想と現実とのギャップにもがいていた20代前半のこともつづられている。等身大の自分を受け入れられるようになったきっかけを尋ねると、「仕事がなかったからです」と即答。
「うだうだ言っているけど、仕事がないという現実が否応なくあった。見て見ぬふりしていましたが、そろそろちゃんと見ようという時期があり、見つめ直しました」と振り返る。
続けて、「その現実と向き合ってから変わっていきました」と言い、「自分に対してわだかまりがない心持ちでいられると、自分の外の世界、人にも、物事にも、無駄なわだかまりがなくなっていく。