2015年10月5日 11:00
テレビ・ワンシーン考現学 (17) 「思わず寝坊してしまった!」を考察する
しかし、その役割も普及率138.5%の携帯電話が奪っていく。「望郷の目覚まし時計」はもはや朽ちていくアイテムである。
○寝坊のエンタメ化
毎度ながらの長い前置きをいい加減終えて本題へ入ると、テレビドラマではまだまだクラシックな目覚ましシーンが散見されるのである。これまで時計嫌いを徹底し、時計の役割とは目覚ましのみにあり、と強く信じてきたこちらは、そのシーンを観て「これぞ時計の真骨頂」と独りで興奮に包まれてきた。いくつかのパターンに分けられる。最もクラシックなスタイルは、ハッと飛び起き、目覚まし時計を持ち、その音に気付かなかった自分、慌てて時刻を見て、「やっばっ」と顔面蒼白になるパターン。デートへの遅延ならば、彼女からの着信が15件入っているスマホの画面を見て、青ざめる。
急いで身支度を整えている最中に、ベッドの角に小指をぶつけるシーンが目立つが、あれはいったい誰が始めたのだろう。
切迫した状況を際立たせる効果があるものの、ドジっぷりを強調する行動としての頻度が高すぎる。そこだけものすごく、振る舞いが昭和っぽい。「このシーンなんだけど、もう1アクセント入れられないかな~」が口癖の監督を納得させるための行為が今に引き続いているのだろうか。