くらし情報『テレビ・ワンシーン考現学 (17) 「思わず寝坊してしまった!」を考察する』

2015年10月5日 11:00

テレビ・ワンシーン考現学 (17) 「思わず寝坊してしまった!」を考察する

この市場成長率は「腕時計は時折替えるべき」、つまり、「男の価値は時計で決まる」方向がリアルに機能していることを意味する。

○時計の役割は目を覚まさせることだけだ

時計とは本来、日々の暮らしを運搬するための、切実な要望に答えながら使われてきたものだ。決して男の価値を高めるためのものではなかった。「1円単位まで割り勘しようとする男」は漏れなく嫌われるが、「1分刻みで行動しようとする男」は嫌われないどころか、仕事の出来る人間として男の価値をどこまでも高めていくらしい。屁のつく理屈と自覚しつつも、「何事にも捕われないオレ」の豪快さを語るビジネスマンが高級時計をぎらつかせているのを見ると、時計嫌いとしては「え、捕われてんじゃん」と突っ込むのを忘れない。しかし、この意見に賛同者は少ないだろう。

時計の役割とは何か。目を覚まさせることである。
個人的にはそこに絞られる。7時なら7時に「7時です」と伝えることだ。「6時50分だ」と知らせて、まだ7時ではないけれどそろそろ起きておくべきと伝えてくれることだ。「いい加減起きろ」と何度も知らせ続けてくれることだ。単身で上京した学生が親のありがたみを痛感するのは、目覚まし時計をかけ忘れて眠りこけてしまっていたお昼前、と決まっているのだ。

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