2015年10月8日 12:00
フォントから考える (3) 世界の“普通”をつくったHelvetica (1)
付け加えれば、私はHelveticaの中庸さからくる“ふところの深さ”が素晴らしいと考えています。「Helvetica」というドキュメンタリー映画からのほぼ受け売りですが、American Apparelに使われるHelveticaはどこか生意気で、扇情的な印象です。その一方で、Helveticaはまったくイメージの異なる無印良品でも利用されているのです。無印良品のこのページを見て、American Apparelと同じ印象を受ける書体だと、果たして思えるでしょうか?
写真の印象に引っぱられるだけでは、と思う方がいるとは思います。しかし、私は逆に、これほどしっかりと写真に引っぱられる書体というのは、そうそう存在しないのだと考えます。これほどまでに相反するイメージを許容できる“ふところの深さ”を持つのは、Helveticaだからこそではないでしょうか。
次回は、Helviticaがなぜ世界標準のフォントとなりえたのか。その理由を考察していきます。
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