2015年12月9日 08:00
抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (3) 中村正人プロマネに聞く(1) - 日本はなぜ金星探査をやろうとしたのか
になったのですが、それなら次は金星だろうと。でも今までソヴィエトや米国がやってきたようなことと同じテーマで探査をやっても、それも意義はあるのですが、違うことをやろうということになりました。
金星は雲に覆われているので中が見えないんです。だから、金星の中でどういう風に大気が動いているかは調べられていなかった。その後、1980年ぐらいに「金星の大気は熱くて赤外線を発しているから、赤外線の観測機器を使って見ると雲の中を覗けるぞ」ということがわかったんですが、ソヴィエトや米国が金星を探査したのは、それがわかるより前の1960~70年代のことですから、彼らはやっていなかったんですよ。
だから赤外線を使えば金星の雲の中の様子がわかる、やろうじゃないか、ということにはなったんですが、日本には赤外線の観測機器を造れる人がいなかった。だから鶴田先生は僕に「日本で赤外線の機器が造れるやつがいないから君がやれ」って言ったんですね。
僕は磁気圏物理屋さんで、気象学はぜんぜんど素人で、なんの関係もないんです。
でも光のセンサー機器の開発をやっていたということもあって、「やってくれ」と言われたわけです。
ただ、「やってくれ」