2015年12月10日 12:00
抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (5) 中村正人プロマネに聞く(3) - 5年前の失敗と、疑われたセラミック・スラスター
それで捕捉できて「あっ、あった」という声が聞こえてきたんですね。そのあと、セーフ・ホールド・モードに入ってることがわかりました。
爆発した痕跡はないんだけど、生きてたということが不思議で、逆に「何が起きているんだろう」と思いました。
--その2時間ぐらいの間というのはどういうお気持ちだったのでしょうか。
中村: 「俺、こんな運悪かったかなー」と思ってたかなぁ。こんなはずないぞ、と。落ち込む余裕もなかったかなぁ。どうなっているか状況が分からないからね。
ほら、女の子に確実にフラれたと思っても、まだ完全に「アンタ嫌いよ」と言われたわけじゃないなら、諦めきれないものじゃないですか。それと同じですよ(笑)。
--運用に関わっておられた、他の皆さんの反応というのはどういうものだったのでしょうか。
中村: 軌道の計算はすぐにでき、このまま行けば6年後には金星のそばを通るということはわかっていたので、先がないという状況じゃなかったですね。集まった人たちに「今は何もしない。6年先にまたみんな集まってください」というようなことを言ったような記憶があります。
そのときみんなはうなずいていたかな。