2015年12月10日 12:00
抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (5) 中村正人プロマネに聞く(3) - 5年前の失敗と、疑われたセラミック・スラスター
まぁ、うなずくしかないですよね。各人それぞれ気持ちはあったでしょうが、ほとんどの人は「そうは言ってもたぶん駄目だよね」と思ってたんじゃないかな。
と言うのも、6年先に金星のそばに近付けたとしても、エンジンがぜんぜん噴けなかったら入れないじゃないですか。燃料が残っているかどうかもわからないし。だから単に金星のそばをもう1回通るチャンスがある、という期待だけで希望をつないだんです。人間ってそういうときには藁にもすがるものですね。
--海外の研究者からの応援や励ましなどはあったのでしょうか。
中村: いっぱい来ました。
応援というよりは、我々と欧州のグループとは一心同体なんです。「ヴィーナス・エクスプレス」[*10]と「あかつき」は、関わっている人間が入れ子になってますから、他人事ではなくて「自分たちが衛星をロストした」という気持ちだったんじゃないかな。
ヴィーナス・エクスプレスのプロジェクト・サイエンティストは、僕がESAのオランダの研究所に勤めていたときの同僚ですからね。
あと米国のNASAに行って、この事故について説明したときに、ジム・グリーンというNASAの科学部門の部長に「それはとても貴重な情報だ」