2015年12月10日 12:00
抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (5) 中村正人プロマネに聞く(3) - 5年前の失敗と、疑われたセラミック・スラスター
惑星大気とプラズマ物理学が専門。
金星探査機「あかつき」では、計画の立ち上げから先頭に立ち、プロジェクト・マネージャとして開発から運用、5年前の失敗事故への対応、再挑戦に向けた計画策定を率いてきた。
○打ち上げ、そして金星周回軌道投入の失敗
--2010年5月21日の打ち上げから同年12月7日の金星到着までは何も不安なところはなかったのでしょうか。
中村: 何もなかった。本当に順調でした。今考えると不気味な話ですね。
--2010年の金星周回軌道投入は、もう確実に成功するだろうと思っていらっしゃったのでしょうか。
中村: そうですね。
だから「どうしたんだろう」と思ったんです。不思議でした。「これはもしかしてエンジンが爆発して吹っ飛んじゃったんじゃないか」って推進系の人たちには言ってたんだけど、今から考えると当たらずと雖も遠からずでしたね。
セラミック・スラスターが途中で千切れてくれたから良かったようなものの、あれが大爆発していたら衛星が壊れていましたから、あの程度で済んで良かったですよ。そのあと、NASAのマドリード局のアンテナにつなぎかえて探して、通信が切れてから2時間ぐらいで再補足できたんですが、臼田宇宙空間観測所で山本善一先生がずっとオシロスコープで探していたんです。