くらし情報『抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (5) 中村正人プロマネに聞く(3) - 5年前の失敗と、疑われたセラミック・スラスター』

2015年12月10日 12:00

抱きしめてヴィーナス - 探査機「あかつき」、金星への帰還 (5) 中村正人プロマネに聞く(3) - 5年前の失敗と、疑われたセラミック・スラスター

中村: 僕もよく知らないんですよ。最初は手堅い設計で行こうということで、そういう新技術の話はありませんでした。高利得アンテナも検討時はパラボラでしたしね。

スラスターはニッケル合金製が普通で、それで行くんだと思っていたら、いつの間にかセラミック・スラスターになってたんです。これは最後まで揉めたんですよ。なにが問題になったかというと、小さなデブリ(宇宙ごみや宇宙塵など)が当たったときに「パーン」と割れちゃうんじゃないか、という心配があったんです。

それでデブリの衝突確率を一生懸命計算して、「まず起こりえない」という結果を出して、採用することになったんです。

--従来型のスラスターでは性能不足だった、ということではなかったのですね。
中村: 今のスラスターは、燃焼温度を落とすために、酸化剤と燃料を理論的に効率が一番良い比率では燃やしていないんですね[*12]。今回は故障によって図らずも理論的に最適な燃焼になってしまって壊れましたが。

セラミック・スラスターは耐熱性が高く、燃焼温度を高く設定できるので、エンジンの効率を上げられるという点はありました。でも、その可能性は探りはしましたが、「あかつき」

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