2022年8月21日 17:03
『鎌倉殿の13人』頼朝に影響され腹をくくった義時 小栗旬の表情も変化
そのときの政子の複雑な顔。こういう微妙な感情のあやが積もり積もって悲劇を呼んでしまうのだなあと、常に他者への思いやりを持つことの大事さを感じた1場面だった。
そうこうしていると、鎌倉殿候補である全成(新納慎也)の息子が殺され、比企の手によるものと感じた北条家はいきり立つ。昔は権力を手にするためには、邪魔になる者は一族郎党滅ぼしてしまうことが当たり前だった。なんて殺伐としているのだろう。
政子に一幡を殺さないでと頼まれても、こっそり泰時に、戦になったらまっさきに殺せと命じる。比企と戦をすることもこのときもう織り込み済みだ。
「思えば頼朝様は正しかった。
敵を容赦せず、常に先に仕掛けた」と頼朝のやり方を踏襲していこうとする義時。どんどん非情になっていく義時のおもしろさは、頼朝に仕えていたときはその非情さに困惑していたが、徐々に頼朝に影響されて、いまや、腹をくくっているところ。残酷なことをしているとわかっていながら、最適な選択をし、それを確実にやり遂げる、職能の高い人物なのである。人間が感情を抑制していく、ある種マシーンのようになっていく様子が興味深い。小栗旬の表情が徐々にかちっと固くなっているのが見てとれる。