2016年7月14日 08:00
母親が、子供を預けてコンサートに行ける社会に - 演出家・平田オリザに現代エンタメのあり方を聞く
そうじゃなくなるということは、不条理に向き合わないといけないということで、そのためには芸術に触れてないといけないんです。
――芸術に触れて、いろんな考え方があると知るということですね。ただ、現在ではいろんな考え方があるのを認める前に、解釈の違いで争うこともありますよね。
それは教育のせいですね。教員は一つの解釈をみんなに教えるような授業をする方が楽だったんです。多様なことを認めるためには準備しないといけないから。でも、一回慣れればそういう授業の方が楽ですよ、勝手に生徒が考えてくれるんですから(笑)。
――とはいえ、平田さんも舞台を作るときには、ひとつの解釈があるはず。
それが違う解釈をされてしまうことについてはどう思われますか?
そこは覚悟を決めないと。若手の演出家に「自分の戯曲がこんな解釈をされてしまったけどどうしたらいいでしょう?」と相談されることもあるんです。そういうとき僕は、「シェイクスピアやチェーホフが、今の世の中でどんなに前衛的な演出をされても文句言えないだろ、その代わり100年後も演出される可能性だってあるんだから。違う解釈を許さないと、100年後の可能性を絶ってしまうことになるんだから」