2016年7月22日 10:00
「わかりやすい」作品が氾濫する世の中、日本に必要なのは"演劇"教育? - 演出家・平田オリザに現代エンタメのあり方を聞く
――そういうワークショップは、一般の人でも受けてみたい人はいそうです。
一般の人がワークショップに行くと、演技の楽しさを知ることになるし、コアなファン、良い観客を育てることにもなりますからね。
○わかりやすいものが氾濫する世の中
――ワークショップにいかなくても、演劇や映画って、観れば観るほど解釈ができるようにもなりますよね。
わかりやすいもの、答えが一つのものが氾濫している中で、芸術にふれるということは、自分の頭を使って想像力を養うことになりますからね。特に映画や演劇は2時間座って見るものですから、お客さんを拘束するだけの価値のあるものを、我々も全力で作らないといけない。
――ただ、今でもやはり芸術に触れることに価値がある、それが何かにつながっているという実感のない人もたくさんいるかと思います。
それはちょっとずつ変えていくしかないですね。わかりやすいものだけでなく、コンテンポラリーアートのような変なものも見られるような環境に。
フランスのピカソ美術館にはいつも幼稚園児が来ていて、ゲラゲラ笑ってるんです。対して日本は、評価の定まったものについて「これはこういう絵ですよ」と教える教育しかまだやっていないんです。