2017年4月26日 11:00
映画『3月のライオン』は原作をどう立体化したのか? それぞれの視点 (10) 神キャスティングの裏に、贅沢な準備期間 – 谷島正之プロデューサー
漫画家・羽海野チカによる大ヒット漫画『3月のライオン』。将棋界を舞台に、プロ棋士である1人の高校生・桐山零が、壮絶な過去を持ちながらも周囲の人間との関係を深め、成長していく。個性豊かなプロ棋士達、零と交流を深める下町の川本家の姉妹たち、零の育ての親である棋士・幸田家の家族など、それぞれのキャラクターの背景や思惑がより合わさった人間ドラマが2部作として映画化され、前編・後編が公開中だ。
前回は神木隆之介と有村架純というキーパーソンについて語ってもらったが、今回伺ったのは全体のキャスティング。どの作品であっても「誰が役を演じるか」は大きな話題を呼ぶが、同作は発表されるやいなや"神キャスティング"と呼ばれた。実際のキャスティング現場では、一体どんな力学が働いているのだろうか。
○キャスティングの複合アングル
――そもそも、今回のキャスティングはどのように決まっていったのでしょうか?
当然私だけが決めるわけではなく、現場を仕切るプロデューサーからはスケジュールやその現場にきっちりハマる人がいいという要求もあって、僕は単なる映画ファンなので夢のようなキャストを思い描くわけです(笑)。そこをうまくすり合わせた上で、監督の意見が軸となってくる。