2017年4月26日 11:00
映画『3月のライオン』は原作をどう立体化したのか? それぞれの視点 (10) 神キャスティングの裏に、贅沢な準備期間 – 谷島正之プロデューサー
監督がこの物語の血流をどのように作り、どう撮るかを重点に、現実的で物理的なスケジュール、金、夢、と様々な要素が合わさって結実していくわけですから、5つくらいのアングルでキャスティングを行うわけですね。
――今回のキャスティングが原作イメージに合いながらも、予想を上回っていったのは、何が良かったと思いますか?
時間をものすごく贅沢に使ったことでしょうか。2012年に神木さんが決まって、撮影まで4年、公開まで5年かかってるわけですが、それまで何をしていたかというと、脚本に3年くらいかけているんです。脚本を入念に作る過程の中で、「このキャラはこの人がいいよね」というのが、ポツリポツリと出て来ました。脚本を熟考する中で、キャストイメージも練りに練る。そうなると、最初は「これだ」と思っていた方でも、3年後に印象が変わっているということも起こります(笑)。
神木さんは最初から揺るがなかったんですが、他の共演する俳優さんって、ある程度脚本ができてからお願いしに行くものなんですよ。脚本を外部の人に読んでもらえるところまでくれば、キャスティングに入れる。
そこまで来た段階ですぐに決まったのが、島田開八段役の佐々木蔵之介さんでしたね。