2017年5月24日 12:30
映画『無限の住人』8人の証言者たち - 「皆さまのもの」になるまで (6) 木村拓哉を特別扱いしない理由とは? 俳優部の気概と素顔 (2人目:坂美佐子P)
連載第6回は、プロデューサーが見た木村拓哉の素顔と「独眼」秘話。
○「独眼」の説得を拒み続ける
――映画の話を聞いたのはいつごろからなんですか?
2年前ぐらいですね。(エグゼクティブプロデューサーの)小岩井(宏悦)さんから聞きました。三池監督が主演を木村さんに決めて、出演が正式に決まったのが7月の終わり。『無限の住人』は業界内でもかなり有名な作品で、詳しい事情は分かりませんが、いろいろな方がやろうとしてダメになったという話は何度か聞きました。
――木村さんとは今回が初めてですか?
初めてです。
――これまでとイメージが変わった部分はありましたか?
私にとっても大スターなので、こういう人だろうとかは、あまり想像しませんでした。
万次は独眼で、原作では右目を塞がっています。
三池組の"母"として、「塞ぐ目を左目にしましょう」という説得は本当に数え切れないほどしました。でも、彼は「ダメだ」と。「原作が右目だから」というシンプルな理由でした。それが「木村拓哉」なんです。――なぜそこまで説得したんですか?
利き目である右目を塞ぐと、立ち回りがさらに危険になります。万次はいろいろな武器を使うキャラクターなので、相手との距離感もそれぞれの武器によって変わってきます。