2017年6月10日 16:00
『ゆるせない、逢いたい』金井監督、「僕らをお金で釣って」の願い - 黒澤映画にも通じる"三行理論"とは
これまでは限られた予算と少ない日数だったので、粘れるところも限定されていました。
○なぜ「三行理論」にこだわるのか
――今回の『ファインディング・ダディー(仮)』を思いついたきっかけは?
シリアスな出来事を夢で見たことがあって、夜中に起きて急いでメモしました。初めてのことです。朝起きてシナリオにしようと思っていたんですが、やっぱり夢なのでなかなか話がつながらなかった。ただ、TCPを知って、シリアスな方じゃなくてエンタメの方に振っちゃってもいいのかなと。コミカルな要素を入れていったらアイデアが膨らんでいきました。
シリアスなシチュエーションにも、笑いが生まれるのではないかと。ひょっとしたら、戦時中の防空壕の中でも……ほとんどなかったとは思いますが、どこかで笑いがあったのかもしれない。
現実世界でも、笑いの要素があった方がすごく心に染みますよね。それを物語に落とし込むと、ドラマ性が強まり、全体の世界観が豊かになる。僕が映画でやりたかったことです。
――確かに。すごく落ち込んでいても、笑ってしまったり、いつもと同じようにお腹が空いたりしますよね(笑)。
そうなんですよね(笑)。それってすごくリアルなことで。