澄ました顔で、超人感を出す『斉木楠雄のΨ難』山崎賢人のさりげない大物っぷり
「へんなところで挑戦してくるんですよね」(福田)
「福田さんの胃袋に挑戦しようと思って」(山崎) (キネマ旬報NEXTvol.17より)
対象がなんであれ、挑戦しようとカラダを張るなみなみならぬ精神性が、「すんっ」と澄ました顔の裏にたぎっているにちがいない。
こわいもの知らずの狂犬(大げさに言ってみました)の彼が演じた仗助と楠雄の共通点といえば、難易度が高すぎて(注目度も高すぎて)、多くの人が尻込みしそうというところ。それと、ふたりは方向性が違うとはいえ、見た目がハデだ。山崎がすごいのは、実際いたらびっくりするような髪型や服装をいともたやすく着こなし、これは漫画ならではであって実写は難しいだろうという大方の予想を気にしないかのように堂々として見えるのだ。堂々というか飄々というか、どや!という力んだ感じが見えないのがいい。こわいもの知らずとは、字のごとく、こわいことを知らないからこそ、それをやすやすと超えることができるということでもある。
○ほとんどしゃべらない斉木楠雄
それにつけても斉木楠雄はすごい。上映時間中、ほとんどしゃべらない。
正確にいえば、しゃべり続けているのだが、それはすべて後から録音(アフレコ)