『デイアンドナイト』生みの親・阿部進之介の「受け入れる」人付き合い
だから、現場で監督と話すこともほとんどなかったですね。孝之は演出に一切口を出さず、役について何か言われることもなかったです。プロデューサーとして、監督を信頼していたんだと思います。
脚本開発の段階から役作りは始まっていました。僕が明石、孝之がそれ以外の役を演じて、そこでセリフを決めていきました。役のことを考えている時間は、どのキャストよりも多くなりました。役のことを思っている時間がどれだけあったのか。役作りにおいて、そこはすごく大事なことだと思っています。
○■人と向き合うことと役と向き合うことは近い
――所属事務所の公式サイトのインタビューで、役の気持ちを理解しようとすることを「新しく知り合った人と友だちになろうとする感覚」と表現されていましたね。2016年3月の記事ですが、俳優として今も変わらない部分ですか?
そうですね。作品の中で1人の人間として生きること。いろいろな経験を通して、そこにつながると思えたので、その手法が僕に合っていました。役に起きている出来事が、他人事ではなく「自分ごと」にならないと心は絶対に動かないんですよね。最初はその役も他人ですが、考えれば考えるほど親身になる。