2019年2月21日 11:30
「意外な傑作」と評判!? 『トラさん』筧昌也監督に演出のポイントを聞く
○■ここから若干ネタバレあり
――先程も漫画へのこだわりを伺いましたが、完成披露では、監督が「この作品は漫画家映画でもある」とおっしゃってましたよね。
企画が始まったのは3年半くらい前でしたが、漫画を描くシーンって、地味じゃないですか。だから、今となっては幻ですけど、許していただけるなら寿々男の職業をミュージシャンにしようという案もありました。ライブシーンも入れられるし、音楽と映画は親和性高いし。
日本における漫画家は身近だけど、世界的に見るとレアな職業でもあるから、閉じた作品になってしまうのではないか、という危惧もありました。でも結局原作を分析していくと、やはり漫画家でしかできないストーリーになっていて、結果的に自分の経験が生きたので、よかったなと思います。むしろ、『漫画家がそこまで特殊ではない職業』として、「売れない漫画家」に感情移入出来るのは、日本が漫画の国だからだろうし、それはドメスティックだけど日本映画としての個性ですから。
――過去の回想で奈津子がアシスタントをしている場面が実は最後につながっていたり、実優ちゃんに夢を引き継いでいけたりするところも、漫画家だからこその展開ですよね。