義務? 慣習? トラブルを招くこともある「敷金」や「礼金」はなぜ必要?
穂積さん:賃貸住宅の契約をするときに、借り主が貸し主に対して「お礼」として家賃の1、2カ月分を支払う金銭のことで、主に、関東方面での慣例です。お礼ですから、敷金のように退去時に返金があるものではありません。
その昔、地方から東京へ進学や就職で移転して来た若い人の身内が、家主に「お世話になります」という意味合いで渡した習慣が続いているという説があります。
――敷金・礼金・保証金は法律で定められたシステムですか。
穂積さん:いいえ、慣習です。ですから、地域によって呼称や内容が違ってきます。
特に礼金については、お礼という性質上、あらかじめ金額が指定されているのはおかしいという見解があり、最近は礼金なしの物件も多くあります。
UR賃貸住宅、公営住宅では、もともと礼金はありません。
――敷金と礼金について気を付けるべきことはありますか。
穂積さん:特に、敷金の返戻金はトラブル、訴訟が多いため、契約をする前の「重要事項説明」のときに、疑問や腑(ふ)に落ちないことがあれば重々、確認してください。
家賃の何倍が必要か、退去時の返戻金はいくらか、原状回復についての貸し主の考え方など、意識的にチェックをしておきましましょう。