読む鉄道、観る鉄道 (17) 『駅 STATION』 - 北海道・留萠本線がにぎわった頃、高倉健が残したドラマ
その妹とすず子を重ねつつ、凶悪犯の兄が妹を思う気持ちに賭けた。
銀行籠城事件を解決し、刑事としてさらに評価を高める三上。
彼の心にはいつも、「競技で撃つことと、人を撃つことは違う」というコーチの言葉がある。
しかし職務では冷徹。
遠慮なく凶悪犯に銃を向ける。
そんな三上の前に、第3の女、桐子(倍賞千恵子)が現れる。
増毛の町で逢瀬を重ねる2人。
ひとときの安らぎ。
刑事を続けるか、老いた母が待つ故郷に戻るか。
三上の心は揺れていく……。
脚本は、『北の国から』をはじめ、北海道を舞台とした数々の名作を手がける倉本聰。
三上のコーチであり、人生の師匠でもある相馬刑事に大滝秀治。
三上の故郷の漁師に田中邦衛。
サブキャストも根津甚八、永島敏行、小林稔侍、橋本功など豪華だ。
武田鉄矢、塩沢ときのコミカルな場面も、2時間超の大作で良いアクセントになっている。
音楽を担当した宇崎竜童も暴走族のリーダー役で出演する。
北海道の風景を情緒的に盛り上げる音楽の作者と、その配役の意外性も興味深い。
オープニングは銭函駅の俯瞰(ふかん)撮影で、DD51が引く黒い貨物列車が通り過ぎる。